後に皇帝争乱と呼ばれる戦いは、最終局面を迎えていた。
魔龍アクロワイバーンへ最後の攻撃を仕掛けるべく、アキレスとテセウスは大空へ飛び立った。
それは、世界を終末から救う小さな希望の光でもあった…。
その数分前の出来事...
周囲には焼けこげた臭いが充満していた。
魔龍の放った炎撃が、マグネフォース達を薙ぎ払ったからだ。
迫り来る炎に戦闘プログラムは回避不能の判断を下し、アキレス達は死を覚悟した。
だが、彼らに最後の瞬間は訪れなかった。
何故か?
それまで、アクロウィルスに冒されて敵対行動を取っていたフォボス達が、彼らを守る楯となってくれていたからである。
強烈な炎と光から視界が回復すると、アキレスの目の前に全身が修復不能なほどに焼け爛れたフォボスの姿があった。
「セ、先輩...」
アキレスは、思わず呟いた。
「アクロウィルスは、現在、何とか押さえ込んでいる。
これが、君達への最後のメッセージとなるだろう。
正しき磁力を持つ者たちへ私達のマグネパワーと想いを託そう...。
そして、これは私がアクロエンペラーの意志に触れたときにスキャンしたデータだ。
断片的な物だが、きっと君の役に立つはず。
受け取ってほしい...。」
最後の力を振り絞って、フォボスはアキレスに語りかけた。
アキレスが静かにうなずくと、暖かく力強いマグネパワーと共にフォボスからデータが送信されてきた。
新たな力に呼応するようにシステムファイルが書き換えられてゆく。
アキレスは、全身にみなぎる磁力を感じた。
「先輩方の想い、確かに受け継ぎましたっ!」
機能が停止したフォボスらの身体を静かに地面に横たえて、彼らは再び立ち上がった。
MODE CHANGE!
SPACE TRAVELER!!!
−−−
皇帝争乱後、アキレスとテセウスは、太陽系調査隊として宇宙へ旅立つ。
フォボスから受け取ったアクロエンペラーのデータを解析した結果、太陽系には、我々の知らないミクロ生命体が存在することが分かったからだ。
広大な宇宙への長い長い旅。
その最終目的地は、土星の衛星タイタン!
そこで彼らを待ち受ける者とは...?
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